ベッドマットは「幅」と「硬さ」をチェック

「出張先のホテルで、ベッドマットの硬さが合わなくて腰が痛くなった」「枕がしっくりこなくてよく眠れない」といった悩みはめずらしくありません。寝具は長時間にわたり身体をあずけるものであり、睡眠の質にも影響を与えます。自分の身体に合う、適切なサイズや形状、硬さのものを選びたいものです。

ベッドマット選びで大切な条件は「幅」と「硬さ」です。

一般的に、睡眠時は一晩に20回前後寝返りをします。このためベッドマットは余裕をもって寝返りができる幅があり、めた寝返りを打ちやすい適度な反発力が必要なのです。硬さについては、柔らかすぎて腰が沈むものは腰痛になるおそれもありますから避けたほうがいいでしょう。

ベッドマットの幅は、両手を横に広げた長さがあるのが理想的です。住民事情などでスペースに余裕がない場合も、少なくとも肩幅の2.5倍以上の長さを確保したいところです。硬さは、手で押したときに3センチメートルくらい沈むものを目安としています。

掛ふとんは、寝返りをしやすく身体に負担をかけない軽さのものを選びましょう。また、就寝中はコップ1杯くらいの汗をかくため、保温性だけでなく吸湿性にも優れた素材がお勧めです。

なお、アレルギーがある人は布団の取り扱いにも注意してください。睡眠中、布団はある程度の暖かさを保った時間が長く続くため、ダニも繁殖しやすくなります。布団のダニを退治するには、晴天時2時間以上の天日干しをするか、「50度で1時間」を目安に布団乾燥機をかけましょう。その後掃除機でダニの死骸をしっかり吸い取ってください。寝具だけでなく寝室もこまめに掃除し、アレルゲンとなるダニの死骸やホコリなどを取り除くのが大切です。

広島国際大学健康科学部心理学科教授  田中秀樹

山口県生まれ。広島大学大学院修了。博士。専門は睡眠学,精神生理学。睡眠改善インストラクター、睡眠健康指導士養成に従事。地域, 学校等で睡眠改善技術を指導。NHK『ガッテン」、「クローズアップ現代」「きょうの健康」等に出演。近著「ストレスチェック時代の睡眠・生活リズム改善実践マニュアル」(全日本病院出版会)等がある。