アロマオイルやハーブティー、お香など「香り」を使って楽しむ手段はさまざまあります。レストランで食後にハーブティーを出されたり、マッサージ店でアロマオイルを使われたりして、その心地よさを感じたことがある人は多いでしょう。
香りには種類によってリラックス効果やリフレッシュ効果があるともいわれています。アロマテラピーやお香は、それ自体に睡眠をもたらす効果はありませんが、精神をリラックスさせると寝つきがよくなったり、香りでリフレッシュして目覚めをすっきりさせたりといった効果が期待できます。睡眠環境の改善の一環として、取り入れてみてもいいでしょう。
鎮痛作用があり、入眠前の使用に向くのはカモミールやラベンダーのアロマオイルです。一方、寝起きにすっきりしたい場合はリフレッシュ効果のあるジャスミンやペパーミントが向きます。とはいえ香りの好みは人それぞれ異なりますから、心地よいと感じられない香りを無理に使うのは逆効果になりかねません。「自分が気持ち良いと感じるかどうか」を基準に選んでください。
なお、最近の研究ではスギやヒノキに含まれる「セドロール」という成分が寝つきや快眠に効果をもたらすという報告もあり、注目されています。これは、セドロールに交感神経を抑制する作用があるためだと考えられます。香りは弱いので、好き嫌いの好みに左右されにくく、使いやすいでしょう。
広島国際大学健康科学部心理学科教授 田中秀樹
山口県生まれ。広島大学大学院修了。博士。専門は睡眠学,精神生理学。睡眠改善インストラクター、睡眠健康指導士養成に従事。地域, 学校等で睡眠改善技術を指導。NHK『ガッテン」、「クローズアップ現代」「きょうの健康」等に出演。近著「ストレスチェック時代の睡眠・生活リズム改善実践マニュアル」(全日本病院出版会)等がある。