夏の蒸し暑さは睡眠の質を下げる

特に空調に気をつけたいのは、夏です。高温多湿で蒸し暑さを感じる時期は、発汗や手足からの熱の放散が起こりにくく深部体温が下がりにくいため、睡眠時間が短くなったり睡眠の質が低下したりしやすいからです。

電気代が気になる、エアコンの風が苦手などの理由で寝るときはエアコンをつけない人も多いと思いますが、寝苦しい季節はエアコンを上手に活用したほうがいいでしょう。身体の冷えが気になる場合は、冷風が身体に直接当たらないよう、エアコンと寝床の位置を見直します。ベッドを使っているなら、ベッドを壁から10~15センチメートル離すと、壁を伝って降りてきた冷気を直接浴びるのを防ぐ効果がありますので試してみてください。

エアコンと合わせて扇風機を使い、冷気を部屋全体に循環させるのもおすすめです。扇風機は、足元に風を送ることでスムーズな放熱を促すという使い方もあります。

どうしても冷えが気になる場合や朝方には蒸し暑さが解消されている場合などは、タイマーを使い、就寝後2~3時間でエアコンを切るように設定するといいでしょう。

このほか、夏におすすめなのはドラッグストアなどで売っている冷やし枕です。「頭寒足熱」という言葉がありますが、頭を冷やすと深部体温がスムーズに下がって寝つきをよくする効果があります。ただし、冷たすぎるのは逆効果になりますから、冷やし枕はタオルを巻くなどして温度や高さを調整しましょう。

広島国際大学健康科学部心理学科教授  田中秀樹

山口県生まれ。広島大学大学院修了。博士。専門は睡眠学,精神生理学。睡眠改善インストラクター、睡眠健康指導士養成に従事。地域, 学校等で睡眠改善技術を指導。NHK『ガッテン」、「クローズアップ現代」「きょうの健康」等に出演。近著「ストレスチェック時代の睡眠・生活リズム改善実践マニュアル」(全日本病院出版会)等がある。