仕事や人間関係などで生じるストレスは快眠の大敵です。ストレスとうまく向き合い、コントロールするための考え方や行動について、睡眠改善のために指導しているポイントを6つ紹介します。
1つは、悩みごとがあったら誰かに打ち明けることです。真面目で几帳面な人ほど仕事などを抱え込みがちですが、「1人でなんとかしなければ」と思う気持ちが強いと心身が疲れてしまいます。つらい時は人に頼ることも大切です。
2つめは「完璧主義」を捨てることです。何でも完璧にしなくてはと思えば、できないことがストレスになります。ときには「腹八分目」でいいと開き直ることも必要です。
3つめは、目標の立て方を考え直すことです。高い目標を掲げると、現実とのギャップがストレスを生む場合もあります。「つらい」「疲れた」と感じたら、無理せず少し目標を下げてみましょう。達成率があれば、前向きな気持ちも生まれやすくなります。
4つめは、自分のための時間を見つけ、給食をきちんと取ることです。心身の安定のためには、食事、運動、睡眠などの生活習慣を整えるのに加え、リフレッシュする時間も不可欠です。
5つめは、生活にユーモアを取り入れ、笑って暮らすことです。笑いで一時的にでもストレスを忘れられれば、よい気分転換になります。「最近、あまり笑っていないな」という人は、笑える映画を見たり面白い本を読んだりしてみましょう。
6つめは、いやなことがあったときの「忘れ方」です。すぐに「なかったこと」にしようとすると、「同じ状況でまた失敗するのでは」といった不安が消えず、くよくよ悩んで眠れなくなったりします。大切なのは、、起きたことを客観的に振り返り、同じことが起きた場合の対処法を確認したうえで忘れることです。
広島国際大学健康科学部心理学科教授 田中秀樹
山口県生まれ。広島大学大学院修了。博士。専門は睡眠学,精神生理学。睡眠改善インストラクター、睡眠健康指導士養成に従事。地域, 学校等で睡眠改善技術を指導。NHK『ガッテン」、「クローズアップ現代」「きょうの健康」等に出演。近著「ストレスチェック時代の睡眠・生活リズム改善実践マニュアル」(全日本病院出版会)等がある。