快眠のための枕選びの重要なポイントは、「立った時の自然な姿勢が維持できるかどうか」にあります。
人がリラックスして立ったときは、顔は頚推のカーブにそって5度程度下向きになります。就寝中にこの状態を作り出すには、ベッドマットと首から頭にかけての間に生じる「S字」のすき間を埋める枕が必要です。枕は首のS字カーブに合うものを選ぶのはもちろん、使用時は頭だけを乗せるのではなく肩口がつくくらい深くあて、首から頭までしっかり支えるのも大切です。
首のS字カーブの深さは、人によって異なります。S字が深い人は高めの枕が、浅い人は低めの枕がしっくりなじむでしょう。朝起きたときに首や肩が痛かったり、寝ている間に枕を外してしまったりする場合は、枕の高さが合っておらず頚推に負担がかかっている可能性があります。枕に頭を乗せた状態をチェックし、自分の身体にあっているかどうか確認したほうがいいでしょう。
広島国際大学健康科学部心理学科教授 田中秀樹
山口県生まれ。広島大学大学院修了。博士。専門は睡眠学,精神生理学。睡眠改善インストラクター、睡眠健康指導士養成に従事。地域, 学校等で睡眠改善技術を指導。NHK『ガッテン」、「クローズアップ現代」「きょうの健康」等に出演。近著「ストレスチェック時代の睡眠・生活リズム改善実践マニュアル」(全日本病院出版会)等がある。